東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F

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田窪恭治「Camélia」
様々な再生プロジェクトを手がけた田窪恭治が見せる「風景芸術」の世界

KOTARO NUKAGA では、田窪恭治個展「Camélia」を2021年4月17日(土)から5月22日(土)まで開催します。
今回の個展では、ヤブツバキをダイナミックに表現した切り紙絵13点を発表いたします。
※小林万里子「オーバーストーリー」を同時開催致します。

田窪恭治は、多摩美術大学絵画科在学中に開催した初個展「イメージ 裁判」(1971)で、ポストもの派世代を代表するアーティストとして注目 を集めました。その後、表現の対象に身体的なアクションの軌跡を写しとった《OBELISK》(1979)などを経て、《巨船アルゴー》(1983)に代表される、廃材を用いたアッサンブラージュへ移行、1984 年にはヴェネチア・ビエンナーレに日本館代表として参加、同シリーズを発表します。1987年に世田谷美術館で公開制作された《日 常ー時間の層へI・Ⅱ》は、自宅のアトリエを再構成した作品で、作品領域は建築にまで拡張していきます。 その後の田窪のターニングポイントとも言える《絶対現場 1987》は、再開発により取り壊される木造住宅2棟を梁と 柱を残して丁寧に解体し、床面に新たにガラス板を張って来訪者がその上を歩いて体験したのちに全てが解体される作品で、日常風景から姿を消した後も、その記憶は写真家の安斎重男によりアーカイヴとして留められました。これは、建築家の鈴木了二と安齊との協働作業によるもので、その後田窪の代名詞となる再生プロジェクトにもつながっていきます。

時を同じくして訪れたフランスのノルマンディー地方で廃墟寸前の礼拝堂に惹かれ、11年がかりの再生プロジェクトを 指揮することに。言語や文化の壁を乗り越えながら、資金調達から礼拝堂の再生作業、壁画制作まで、地域の人々と協働して作業を続け1999年に完成を迎えます。見事に再生を果たし村人たちに愛された礼拝堂再生プロジェクトの功績を高 く認められ、フランス政府から芸術文化勲章オフィシエを授与されます。 帰国後の2000年には香川県金刀比羅宮の文化顧問に就任、琴平山再生計画に着手。2004年に大遷座祭を終えた後、白書院の襖一面にヤブツバキの花を力強いタッチで描くとともに、カフェ・レストラン「神椿」の建築デザインと壁画制作 を手掛け、歴史ある土地の持つ生命力を圧倒的なスケールで表現してみせるなど、現在も精力的に制作活動を続けています。人間が他の生物に敬意を払って共存しながら、他の要素を取り入れたり組み換えることで立ち現れる新たな風景、つ まり「風景芸術」を生み出すことで、既存の世界と一見変わらぬようでいて、全ての生物が豊かに暮らせる総合的な世界 が完成する、と田窪は考えます。「風景芸術」は、作家が制作を終えた後も、表現の現場という役割を担い存続していく のです。

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椿の切り紙絵

「光」と「色」に関する人類共通の興味は、特にニュートンの「光学」とゲーテの「色彩論」を経て、近代絵画以降大 きな表現の要素となりました。ドラクロワやターナー、マネやモネの新しい絵画の表現方法、そしてセザンヌやマチスや モンドリアンなど、独自の「色」に対する表現がありました。 現在では、さまざまな技術革新とともに「色」から「光」へ、あるいは「色」と「光」を総合的に取り入れた方法が一 般的になってきましたが、特にマチスが、その後半生で多く制作した色紙を切って貼り付けた「切り紙絵」の手法と、最 晩年の《ロザリオ礼拝堂》の色ガラスを透した光が室内に入り、床や壁(タイル画)、天井などに反射して現れる色と光 のハーモニーによる表現に影響を受けた私は私自身の「風景芸術」を実施するために、フランスの《林檎の礼拝堂》や金刀比羅宮の《神椿》から2017年に完成した聖心女子大学の自然石モザイクによる《Le Pommier d’or(黄金の林檎)》 を作りました。これらの作品から特定の風景の本質的なイメージをそれぞれ「林檎」や「ヤブツバキ」「黄金の林檎」に 見出した私は現在さらに新たな「風景芸術(註)」に向けて進み始めています。 今回の《椿の切り紙絵》は、私がこれから始める「風景芸術」の最初のイメージなのです。

田窪恭治

註:「作家が居なくなった未来においても生き続ける表現の現場こそ、私が目指す『風景芸術』なのだ」 田窪恭治『表現の現場』講談社現代新書、2003年
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今回発表されるのは、ヤブツバキをモチーフに描いた新作の切り紙絵のシリーズです。琴平山再生プロジェクトで訪れ た、温暖な気候となだらかな稜線の小島が浮かぶ瀬戸内海ならではの穏やかな風土。それと呼応するようなヤブツバキの 凛とした佇まいからこの土地の性格を読み取り、「まさに有るが如き花」だと感じ、とても大切な素材になったといいま す。特徴的なセピアカラーのドローイングや天然石を用いたモザイク作品など、素材や手法を変えながら田窪作品に繰り返し登場するモチーフです。特別な思いの込められたヤブツバキが、田窪が心新たに取り組む「風景芸術」の幕開けを鮮 やかに彩ります。ぜひご高覧ください。
2021-03-24

Information

URLhttps://www.kotaronukaga.com/projects/camelia/
Address〒140-0002 東京都品川区東品川 1-33-10 TERRADA Art Complex 3F

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