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ステータス: ギャラリー

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鈴木健二|PICTORIAL OBJECTS 会期:2022年7月2日(土)–31日(日)
鈴木健二|PICTORIAL OBJECTS
会期:2022年7月2日(土)–31日(日)
 
セラミックホワイトの油絵具から既存の乾性油を抜き、良質なオイルを限界値まで再注入して練り直す。支持体となるのはキャンバスの裏面で、そこでは絵具のポテンシャルを最大限に引き出すべく、入念な下地調整を施す。鈴木健二の「PICTORIAL OBJECTS」の制作は先ずこの作業から始まります。次に、光沢と堅牢性を増したセラミックホワイトを塗布し、乾ききる前に鉛筆で恣意的な曲線を引きます。潜在性を湛えた美しい白い海が鉛筆で削られ、轍の残土のように線の縁に僅かに盛り上がった部分が、ストロークの痕跡と、線の前後関係を生々しく残したまま、絵具が乾いた後に今度は筆とマスキングを用い、直線を加えていきます。
 
単純でありながらしかし、鈴木のこうした制作プロセスによって、2種類の線には関係が生じ、俄然能動性を帯びることになります。自由な曲線と、慎重に検討された直線の交差が出現させたオブジェクトは、何かしら立体構造のワイヤーフレームなのか、線の前後関係はどうなっているのか、鑑賞者の興味を喚起し、その眼差しは綾取りのように線の行く先を追いながら、気がつけば自らの視線の軌跡を解くように、再び今・此処へ引き戻されるのです。このようなイメージと鑑賞者の不断の応答こそが絵画の本質であり、それを端的に抽出するために出現させた無始無終の対象(オブジェクト)、そして空間に於ける物体(オブジェクト)としての絵画という二重の意味での「ピクトリアル・オブジェクト」は、鈴木自身が語るように「世界の眺めのメタファー」なのかもしれません。
 
スプラウト・キュレーションでは初の個展となる本展では、新作のオイル・ペインティングを多数発表いたします。ぜひご高覧ください。
 
鈴木健二
1974年愛知県生まれ。1998年東京造形大学造形学部美術学科卒業。’99年同大研究生修了。
個展に、2021年「PICTORIAL OBJECTS」HIGURE 17-15 cas(東京)、2009年「不透過な格子と形づくるかたち」switch point(東京)、2007年「Circle Pieces Color Circuit」switch point(東京)、2006年 TIME & STYLE EXISTENCE(東京)、2005年「WHAT IS THAT?  WHAT CAN IT BECOME?」COLUMBIA.(名古屋造形芸術大学/愛知)、TIME & STYLE HOME(東京)等。主なグループ展に2021年「抽象 Abstraction by CADAN」伊勢丹アートギャラリー(東京)、2016 年「OLL KORRECT」TURNER GALLERY(東京)、2011年「肥えた土地」アキバタマビ21(東京)、「X+Y」Gallery PSYS(静岡) 等
 
SUZUKI Kenji | On PICTORIAL OBJECTS
Extracting the ready-mixed poppy oil from ceramic white oil paint, re-infusing the paint with as much high-quality stand poppy oil as possible and remixing it; it is the rough side of a canvas that is treated by a strenuous layering of grounds, dedicated to draw out the maximum potentiality of the paint. Suzuki’s production of PICTORIAL OBJECTS starts from this process. He then applies the ceramic white, which is now more durable and luminous, onto the surface, and while it is still wet, draws arbitrary lines with a pencil.
The beautiful white sea saturated with potentiality is chiseled by the pencil, and the subtle piles of paint around the rut-like lines retain the rawness of both his strokes and the relationship between the lines. As the paint dries, he adds straight lines using a brush and masks.
Quite simple, yet it is Suzuki’s such drawing process that let the two types of lines gain relationship and hence potency. The objects that have appeared from the intersecting of the free curving lines and the carefully considered straight lines intrigue the viewers; as the viewers follow the lines’ paths, wondering if it is a certain wireframe structure or how the lines are related chronologically, their gazes trace the directions of the lines like cat’s cradle and eventually find themselves reuniting with the present as if to unwind the traces of their gazes. The perpetual dialogue between the images and the viewers is the essence of painting, and in order to extract it in a straightforward fashion, the artist visualized the objects delivered from the temporal framework. For the painting being also a spatial object itself, the “pictorial object” is twofold—which may well be, in Suzuki’s words, ”a metaphor for worldviews”.
Yoshikazu SHIGA wrote, Juri AKIYAMA translated
2022-07-06

Information

URLhttps://sprout-curation.com/exhibitions/3805
住所新宿区西五軒町5−1–3f

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