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Kaz Oshiro Solo Exhibition 'Echoes from Oblivion'

この度、TEZUKAYAMA GALLERYではロサンゼルスで活躍する日本人アーティスト、カズ・オオシロの個展「Echoes from Oblivion」を開催いたします。

カズ・オオシロは1967年に沖縄県に生まれます。1986年に渡米し、カリフォルニア州立大学で1998年と2002年にそれぞれ文学士と美術学修士を取得し、現在もロサンゼルスを拠点としながら、世界各国で発表を重ねています。

オオシロの作品は、ポップアートやミニマリズム、抽象的表現主義などを参考にしながら、それらの思想を独自に展開し、立体と平面、 抽象と具象、リアリティとイリュージョンなど、さまざまな二項対立の上に立って作品の本質を探っています。

オオシロの代名詞とも言えるごみ箱、アンプ、キャビネット、スーツケースなどは精巧かつ忠実に再現されており、ギャラリーに展示されたそれらは奇妙な光景として映り、はじめ作品とは認識されません。しかし、それら全てのものがキャンバスの上に描かれた作品という事実を知った瞬間に物の見方が逆転します。あたかも、鑑賞者は木枠に貼られたキャンバスが、芸術作品であることの証明となっているかのように感じられるかも知れません。また、ほぼ単色で構成される作品「Still Life」シリーズも、支持体であるキャンバスそのものが不規則に変形したり、シワがよったりしていることで、立体作品と平面作品の間をさまようかのような印象を鑑賞者に与えます。このようにカズ・オオシロの作品は、二つの反する要素の間を揺れ動きながら、いくつもの「なぜ?」を観る者の中に誘発し、芸術作品の存在や定義を再考するきっかけを与えます。

2020年に東京・天王洲のMAKI Galleryにて、日本での約12年ぶりとなる個展「Republic」を開催。個展のタイトルとして、古代ギリシャの哲学者であるプラトンの著書『国家』を引用しました。その著書の中ではプラトン独自の国家論が言及されるとともに、物事の本質、真の善や美といったイデア論についても語られています。プラトンは私たちがいかに物事を表面的にしか見ていないかという点について、” 洞窟の中に閉じ込められた囚人は、洞窟に映る影絵のようなものだけしか見たことがなく、それが実体だと思っていると”という比喩を用いて説きます。作家も、作品を観る私たちも同様に、無自覚なままでは容易には近づくことは出来ない本質があるということを本個展を通して提示するとともに、絵画とは何か、ARTとは何か、という根源的な問いを鑑賞者に投げかけました。2022年に開催された「国際芸術祭 あいち2022―STILL ALIVE―」では、代表作とも言える「Orange Speaker Cabinets and Gray Scale Boxes (2009)」が展示されるなど、日本国内でも注目が集まるアーティストです。

本展「Echoes from Oblivion」は、TEZUKAYAMA GALLERYでの初個展となり、カズ・オオシロにとっても大阪での発表は初となる貴重な機会となります。MAIN GALLERY、VIEIWING ROOMの両スペースを贅沢に使い、ギャラリーのコレクション作品である「Orange Speaker Cabinets and Gray Scale Boxes (2009)」を関西で初披露するとともに、キャビネット、テールゲート、「Still Life」シリーズ、「Steel Beam」シリーズなどの代表作を展示いたします。

是非、この機会にご高覧下さいませ。

Galleries (Click to see works)

Yamazaki Bldg. 2F, 1-19-27 Minami-Horie, Nishi-ku, Osaka, JAPAN