31 Kawabata-higashi Marutamachi Sakyo-ku, Kyoto, Japan

ステータス: ギャラリー

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宮本佳美「Inheritance of life」
 今冬、イムラアートギャラリーでは宮本佳美の個展を開催いたします。

 宮本は水彩絵の具をメインに用いて、モノクロームの絵画を制作する事により光の表現を試みています。作品ごとに、様々な色の絵の具を混ぜ合わせた「黒色」を使用し、白の絵の具と滲みを重ねながら制作しています。2014年に第25回五島記念文化賞・美術新人賞を受賞、2017年には北海道、愛知、奈良と巡回したグループ展「ニッポンの写実 そっくりの魔力」に出品歴を持つ、実力派の作家です。

 本展は2021年11月の東京での個展の巡回展となり、追加の新作を含めた約6点を展覧いたします。植物の生命の循環にも見られるような、彼女のこだわりの「黒色」と白で描いた光の表現から生まれる生命力を感じていただければ幸いです。ゼラニウムモチーフの作品によって構成される空間をご堪能くださいませ。

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作家コメント

2019年の春、私はマドリードにあるMarlboroughギャラリーを訪ねた。目的はアントニオ・ロペス・ガルシアの所蔵作品を見せてもらう事だった。光を探求するうちに、色の情報を排除したモノトーンの絵を描いて来たが、目に飛び込んでくる花、物の中に私は何を見ているのか自問自答繰り返し、あるいはカメラのレンズから読み取れる光や情報を表現する中で、私は一度写実的に描く意義を考えたいと思っていた。写実画を描く画家の中でも私はアントニオ・ロペス・ガルシアの作品にひかれた。彼の絵の何にひかれて居るのか知りたい。自分の目で確かめたいと所蔵場所の一つである長崎県美術館や精通されている方から情報を得た末のマドリード行きだった。

 Marlboroughギャラリーでその時見ることができたのは、ロペスの若い頃の作品一点のみ。女性が椅子に腰掛けた様子を描いたその絵は写実的に描かれた印象は無い、どこか物思いにふける印象を持つ絵で有った。

 命の輝きを表現する場面で私は花を度々モチーフとして選んできた。マドリードで恐らく最も多く見たゼラニウムの造形に心をひかれ、日本に戻り花を育てる所から制作を始めた。

 鉢植えから伸びる花を描くのは初めてであった。これまでは、モチーフとして生命を失った花に光をあてる事が出来る表現がしたくて、押し花やプリザーブドフラワーを使用して来た。それに反して、鉢植えの花は日々形を変え大きくなり、花は咲いては枯れを繰り返し、作品につながるまでのフォルムとしてとらえる事に困難を感じた。しかし、ゼラニウムを描いていて見えてきたのは立ち上がる炎の様な生命感やきらめく月光りの様な光りであった。

 現実を見つめながら意識はモチーフの花が持つ普遍的な生命をつないで来た歴史を想像している。そしてロペスの何処か物思いにふける印象の女性の絵をしばし思い出している。

宮本佳美
2021-12-01

Information

URLhttps://www.imuraart.com/exhibition/2021/11/inheritance-of-life.html
住所〒606-8395 京都市左京区丸太町通川端東入東丸太町31

その他

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