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神谷徹「portraits」
このたび、京都を拠点に活動する画家・神谷徹の個展「portraits」を開催いたします。イムラアートギャラリーでの展示は2014年の個展開催から9年ぶりとなります。
神谷の代表的な作品は、アクリル絵具を使用したグラデーションが特徴的な色面構成の絵画で、作家自身によって設計されたパネルの支持体から成ります。制作過程は、まず、色面構成の要素となる色を、アクリル絵具を混ぜ合わせてそれぞれ作成します。絵具をそれぞれキャンバスへのせ、数本の刷毛を一列に繋ぎ合わせた自作の画材によって色をキャンバス一面に塗り広げていきます。絵具が乾いた後に、同じような作業を数回繰り返し、そして、これで終わりだ、と自身が納得いく段階まで何度も絵具を塗り重ね、絵画を完成させます。
本展では、肖像画シリーズ(portrait series)作品をメインに紹介します。神谷が京都に移り住んでから関わるようになった周囲の人々の肖像画で、家族や職場をはじめとした日常的に関わるそれぞれのコミュニティに属する人々が描かれます。肖像画と言っても神谷の肖像画は、具体的なモチーフを持たず、通常のグラデーション作品の形式と同様に、色面構成による絵画で表現しています。肖像画を描くにあたり、作家は対象者に誕生日や何か数字と結びつくような事をインタビューする事があります。神谷は数字に色が付いて見える共感覚者で、数字をもとに対象者の人物カラーを引用しています。通常のグラデーション作品制作で色を作る際は、「絵画として成立するかどうか」を考慮し「こんな色の絵が見たい」「この組み合わせはうまくいくだろうか」などと考えます。しかし、肖像画では、良い響き合いをする組み合わせの色だけでなく、対象となる人物のカラーも引用するため、自身でもどの様な見え方になるかを試しながら、期待して制作しているといいます。必ずしも美的な観点からだけでない絵が出来上がる事がこのシリーズの特徴です。
二年ほど前までは、作家は絵画空間内に奥行が見えたり、手前に見えたり、歪んで見えるような効果を狙っていました。ですが、現在では作家は次のように語ります。
「絵の中に奥行き感を出したくなく、強く出っ張って見える色を使いたいのでもなく、
ちょうど絵の表面に色が留まって見えるような感じにしたいと思うようになりました。
それが目玉に一番近い瞼の色彩(瞳を閉じたときに見える色のような)かな、と。
遠くのモチーフでもなく、自分の内側からの表出でもない、一番近くの現象で身体性が伴っているもの、という印象を持っています。」
また、色に関しても、作家の中で、変化は起こってきていて、明るい色味を使いたい気持ちがあるといいます。これらの制作に対する変化にも注目いただければ幸いです。
普段の制作で使用する色にイメージは特に無いとする作家の、イメージをもとに制作された作品たちは、作家の制作にとって大きな変化で挑戦となっています。初公開となる肖像画シリーズ(portrait series)作品を、作家の活動拠点である京都でぜひご覧ください。
神谷徹「portraits」
2023/6/23 (Fri.) - 7/15 (Sat.)*Closed on Mondays, Sundays and National Holidays
imura art gallery
神谷は1969年生まれ、1994年東京芸術大学院美術研究科絵画専攻油画修了、アイルランド政府奨学生としてNational College of Art & Designに留学。1999年、アーティストインレジデンスでダブリンのTemple Bar Gallery & Studios滞在制作。2011年文化庁在外研修員制度イギリス滞在。2023年京都芸術大学教授に就任。
近年の主な個展に「息/瞼の裏/なぞる」(SCAI The Bathhouse、東京、2023年)、主なグループ展に「Polyphony」(ARARIO GALLERY、上海、中国、2022年)、「待合室」(ホテルアンテルーム那覇、沖縄、2021年)、「ひらいてみよう 美術の扉」(府中市美術館、東京、2020年)など。
神谷の代表的な作品は、アクリル絵具を使用したグラデーションが特徴的な色面構成の絵画で、作家自身によって設計されたパネルの支持体から成ります。制作過程は、まず、色面構成の要素となる色を、アクリル絵具を混ぜ合わせてそれぞれ作成します。絵具をそれぞれキャンバスへのせ、数本の刷毛を一列に繋ぎ合わせた自作の画材によって色をキャンバス一面に塗り広げていきます。絵具が乾いた後に、同じような作業を数回繰り返し、そして、これで終わりだ、と自身が納得いく段階まで何度も絵具を塗り重ね、絵画を完成させます。
本展では、肖像画シリーズ(portrait series)作品をメインに紹介します。神谷が京都に移り住んでから関わるようになった周囲の人々の肖像画で、家族や職場をはじめとした日常的に関わるそれぞれのコミュニティに属する人々が描かれます。肖像画と言っても神谷の肖像画は、具体的なモチーフを持たず、通常のグラデーション作品の形式と同様に、色面構成による絵画で表現しています。肖像画を描くにあたり、作家は対象者に誕生日や何か数字と結びつくような事をインタビューする事があります。神谷は数字に色が付いて見える共感覚者で、数字をもとに対象者の人物カラーを引用しています。通常のグラデーション作品制作で色を作る際は、「絵画として成立するかどうか」を考慮し「こんな色の絵が見たい」「この組み合わせはうまくいくだろうか」などと考えます。しかし、肖像画では、良い響き合いをする組み合わせの色だけでなく、対象となる人物のカラーも引用するため、自身でもどの様な見え方になるかを試しながら、期待して制作しているといいます。必ずしも美的な観点からだけでない絵が出来上がる事がこのシリーズの特徴です。
二年ほど前までは、作家は絵画空間内に奥行が見えたり、手前に見えたり、歪んで見えるような効果を狙っていました。ですが、現在では作家は次のように語ります。
「絵の中に奥行き感を出したくなく、強く出っ張って見える色を使いたいのでもなく、
ちょうど絵の表面に色が留まって見えるような感じにしたいと思うようになりました。
それが目玉に一番近い瞼の色彩(瞳を閉じたときに見える色のような)かな、と。
遠くのモチーフでもなく、自分の内側からの表出でもない、一番近くの現象で身体性が伴っているもの、という印象を持っています。」
また、色に関しても、作家の中で、変化は起こってきていて、明るい色味を使いたい気持ちがあるといいます。これらの制作に対する変化にも注目いただければ幸いです。
普段の制作で使用する色にイメージは特に無いとする作家の、イメージをもとに制作された作品たちは、作家の制作にとって大きな変化で挑戦となっています。初公開となる肖像画シリーズ(portrait series)作品を、作家の活動拠点である京都でぜひご覧ください。
神谷徹「portraits」
2023/6/23 (Fri.) - 7/15 (Sat.)*Closed on Mondays, Sundays and National Holidays
imura art gallery
神谷は1969年生まれ、1994年東京芸術大学院美術研究科絵画専攻油画修了、アイルランド政府奨学生としてNational College of Art & Designに留学。1999年、アーティストインレジデンスでダブリンのTemple Bar Gallery & Studios滞在制作。2011年文化庁在外研修員制度イギリス滞在。2023年京都芸術大学教授に就任。
近年の主な個展に「息/瞼の裏/なぞる」(SCAI The Bathhouse、東京、2023年)、主なグループ展に「Polyphony」(ARARIO GALLERY、上海、中国、2022年)、「待合室」(ホテルアンテルーム那覇、沖縄、2021年)、「ひらいてみよう 美術の扉」(府中市美術館、東京、2020年)など。
参加ギャラリー (クリックして作品をみる)
31 Kawabata-higashi Marutamachi Sakyo-ku, Kyoto, Japan
作品
Title | F and K |
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Artist | 神谷徹 Toru Kamiya |