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安瀬英雄 個展『camera obscura』

KANA KAWANISHI GALLERYは、2025年9月19日(金)より安瀬英雄個展『camera obscura』を開催いたします。

安瀬英雄は、写真を用いたコンセプチュアルな作品で知られ、代表作のひとつである〈Stripe (50Hz)〉シリーズ5点が大英博物館(イギリス)に収蔵されるなど、高く評価されているアーティストです。弊廊で3年振りとなる本展は、現代における写真を独自の解釈で表現する 〈RGB〉の新作を中心に構成します。​

〈RGB〉シリーズは、カロタイプ写真の発明者であるウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットが、自身の技術をフォトグラフでなく「光で絵を描く」を意味する「photogenic drawing」と呼んでいた事実に着想を得ています。いわゆる「名画」として世界的に共通認識されている絵画の画像をインターネット上から入手し、名画と同寸法で製作されたキャンバス地に、写真を構成するピクセル(画像)の明るさの分布をグラフ化したヒストグラムをを描くことで制作されます。本展ではシリーズ最新作として、ヨハネス・フェルメールの絵画13点をモチーフにした新作を中心に構成いたします。

17世紀のオランダ黄金期を代表するフェルメールは、静かな室内を舞台に、繊細な光と影で登場人物の物語性を表現する画家として知られています。光の扱いや透視の正確さと緻密さでも知られており、一部の研究者や美術史家は、彼がcamera obscura(カメラオブスクラ)を視覚的な補助としていた可能性を指摘しています。

camera obscura(カメラオブスクラ)は15世紀頃に登場したとされるカメラの原型とも言える光学装置ですが、RGBカラーシステムは、テレビやコンピュータディスプレイの技術の発展とともに20世紀半ばに発展しました。中世の光学装置を用いて、絵画表現を新たな地平に押し広げたフェルメール作品と、RGBカラーシステムという現代の光の視覚システムを用いて、デジタル画像を複製可能なものから固有な絵画へと還元させる安瀬の〈RGB〉。

光と視覚、技術と芸術の関係性、現代における写真を根源的に問い直す本展に、是非ご期待ください。


【アーティストステートメント】

Camera obscura(カメラ・オブスクラ)
写真の原理による投影像を得る装置であり
17世紀の画家フェルメールはこの技術を絵画に活用したと言われている。
フェルメールがこのカメラの原型とも言える技術を用いて
暗闇に投影された光を手掛かり絵画制作したとするなら
私はフェルメールの描いた絵画の画像データの光を手掛かりに
RGBの手法で絵画制作したくなった。

安瀬英雄


【アーティストプロフィール】

安瀬英雄(あんぜ・ひでお)

東京生まれ。
主な個展に『Photogenic Drawing』(2022年、KANA KAWANISHI GALLERY、東京)、『Synchronicity』(2019年、KANA KAWANISHI GALLERY、東京)、『姿なき存在の形』(2016年、KANA KAWANISHI GALLERY、東京)、『RED 2014 365』(2016年、SUNDAY、東京)など。
主なグループ展に『One Picture Manifesto』(2022年、KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY、東京)、『大英博物館 常設作品展』(2019年、大英博物館、ロンドン)、『Body Politics: What Defines the Body?』(2018年、KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY、東京)、『記録と記憶|transcripts/memories』(2015年、KANA KAWANISHI GALLERY、東京)など。

2016年、自身初となる作品集『RED 2014 365』をTRADEMARK PUBLISHING(ドイツ)より刊行。本書は2025年、韓国・国立現代美術館ソウル館に収蔵。主な作品収蔵に大英博物館(イギリス)、サンダース・コレクション(オランダ・ハーレム)。

参加ギャラリー (クリックして作品をみる)

4-7-6 Shirakawa, Koto-ku, Tokyo

作品