このオンライン展覧会はアーカイブされています

横井七菜 Nana Yokoi “Crumble"

この度HAGIWARA PROJECTSでは、10月30日(土)より、横井七菜による個展「Crumble」を開催いたします。弊ギャラリーでは初個展となります。
横井は、2006年に多摩美術大学絵画学科を卒業後、主にドローイングを元にした作品を発表してきました。今回の展覧会では、新作のドローイング作品を中心に十数点展示予定です。

横井の作品には、少年や少女、また虫や鳥、ろうそく、炎などが丁寧にそして細やかな線で描かれています。そして寓話のワンシーンのようにも捉えられる描写は、観る人にさまざまな解釈を促します。
展覧会タイトルの “Crumble”とは、お菓子などの上にのっている細かいぽろぽろとした粒状の生地のことを指し、名前が付いていても決まった形を持っていないことや、崩れる手前でなんとなく形を保っている存在に親しみを覚えると作家は言います。横井は作品を通して、日常の些細な出来事や心の動きといった小さく不確かなものの美しさを、物語性と瑞々しさ、そして緊張感を併せ持った画面で表現し、確かな存在へと変換させます。


Artist statement:
私が制作において一貫して取り組んできたことは、私的な日々の出来事をベースとして絵画を成立させるという姿勢です。

 季節によって変わる風景、感銘を受ける本に出会うこと、自分の傍に長い間あるものに対して愛情が深まってゆくことの不思議さをあらためて感じたりという、誰の日常にも起こりうる出来事に視線を向け、そのとりとめのなさ、移ろいやすさに親しみを感じながら作品を作っています。

 言葉が意思疎通のための道具であるとして、伝える必要がないとみなされ言語化されないままになっている感覚や感情が、そういった日常のささいな出来事の中には数多くちりばめられており、私はそのことをとても美しいと感じ、それらについて表現したいと考えています。

 色彩の配置による印象の操作、一本の描線を画面に加えることの効果を判断するといった、絵画を制作する上で必要な厳しく主観が抑制された眼差しを作品に注ぐことで画面上からノイズをなくし、言語化されないままに残されている弱く静かでとりとめのない、美しいものたちの存在を浮かび上がらせる。

 その体験はとても魅力的なものであり、私を制作に向かわせる動機のひとつです。

参加ギャラリー (クリックして作品をみる)

1-13-6-1F Tokiwa, Koto-ku, Tokyo

作品